日本にコーヒーが入ってきたのは

コーヒーは、いまではわれわれの暮らしの中にすっかり根づいていますが、これを飲みはじめたのは一一世紀のアラビアでした。

 

ヨーロッパには、一六世紀の後半、東方に旅行した知識人が伝えました。アラビアからトルコに伝わり、「カフヴエ」という名で愛飲されていた飲み物です。

 

日本に伝わったのは、おそらく、江戸時代のころだと思われます。そのころの唯一の海外への窓口だった、オランダの商館員あたりがすすめたのではないでしょうか。

 

 

安永四年(一七七五年)、オランダ使節の主任医師として来日した力-ルービーター・ツンベルグは、日本の飲料について次のようにいっています。

 

「日本人は茶と日本酒を飲廿だけである。ぶどう酒も飲まなければ、ヨーロッパの酒造家のつくる他のうまいアルコール飲料も飲まない。(中略)二、三の通訳のみが、ようやく珈琲の味を知っているくらいのものであ巨

 

それから100年くらいたった将軍家茂のころ、やっと開国した日本へ、駐日総領事となって来日したラザフォードーオールコックは、自国へ向かっての通信の中で、次のような感想を述べています。

 「コーヒーは公使館へ来るすべての者の間で  般によく飲用された。通訳の森山はとくにコーヒーとビールの愛好者である。実際、ロ本人をしてあまねく、ヨーロッパの贅沢品の多くの消費者たらしめるには、機会が必要なだけと思う」

 

オールコックの批評は適中し、二〇年くらいたった明治二一年、上野に目本初のコーヒー店「可否茶館」が現れました。

 

現在の喫茶店のはしりです。