客船の出航時刻とはどの瞬間

ドラが鳴り、色とりどりのテープが舞う客船の出航風景は、いかにも送る人と送られる人のコントラストを浮き立たせて、風情のあるものです。

 

ところで客船が岸壁を離れるまでには、なにしろあの大きな図体ですから、けっこう時聞かかかります。

 

時刻表を見ると、長距離フェリーの出航時刻が記載されていますが、この出航時刻の定め方にも何か決まりがあるはずで

 

船が出航するまでの手順を考えてみましょう。

まず船出にはつきもののドラが打ち鳴らされます。これは別に出航の合図ではありません。

出航時刻が近づいたので、乗組員と乗客以外の人は下船してください、という合図です。

 

そしてタラップがはずされ、船と岸壁とをつなぐローブがはずされます。

 

このとき、船は完全に陸とは切り離されたわけで、これが出航の時刻なのです。

 

つまり、船の出航時刻は、岸壁につながれているロープをはずしか瞬間ということになります。

 

また、大型タンカーのように、岸壁から離れて停泊したままの船の場合は、錨を上げたときが出航時刻となります。

 

ちなみに、船出につきもののテープの由来ですが、これは意外と歴史が新しく大正時代

にサンフランシスコ在住の日本人が考支出したものです。

 

一九一五年にサンフランシスコの万国博のとき、日本のある商店が出品した包装用の紙テープが、大量に売れ残ってしまいました。

これに目をつけた森野庄吉という人が、港で「テープで別れの握手を」といって売り出したところ、たいへんな人気を呼び、一般的な習慣となったものです。